相談者:母78歳(長男50歳(障がい者)・甥48歳)
状況
重い障がいのある長男と自宅不動産で同居している母からの相談です。
夫は既に他界しており、長男は一人っ子のため兄弟はいません。
甥は近所に住んでおり長男のことをいつも気に掛けてくれ頼れる存在です。
最近、物忘れも多く体調も悪いことから、認知症や死亡による親なき後に一人残される長男の生活が心配です。
相続人のいない長男が亡くなった場合、残った財産はお世話になった甥にあげたいと考えています。
何もしなかった場合
母が認知症になったり他界した場合は母や長男の財産管理のため成年後見人を選任する必要があり、裁判所の監督下で柔軟な財産管理が行えない可能性がある。
財産の額によっては親族(甥)が成年後見人になれず、司法書士、弁護士等の専門家が成年後見人になる可能性がある。
障がい者である長男は遺言を書くことができないため、長男が亡くなると相続人不存在となり残った財産は国庫に帰属してしまう。
成年後見制度を使った場合
母が甥に対し、負担付遺贈(長男の面倒を看る代わりに一部の財産を甥にあげるという内容)の遺言を書きます。財産を一部あげることにより、母なき後も甥による長男への支援を期待することができますが、母が生前に認知症となった場合の不安や長男が遺言を書けないため、長男が亡くなると残った財産が国庫に帰属してしまうという問題は解消されません。
家族信託を使った場合
所有者である母を委託者、甥を受託者、実際に権利をもつ母を受益者とし、母の自宅と金融資産を信託財産とする信託契約を締結。
委託者と受益者が母であり、名義だけを受託者甥とする信託契約としているため、不動産取得税、贈与税や譲渡所得税などは発生しない。
将来母が判断能力を喪失したり他界した場合でも、受託者である甥が単独で自宅の管理や生活費の支払等の財産管理を行うことでき、長男が施設への入所を検討することになれば必要の応じて自宅の売却も行うことができる。
遺言書と同様に、母の後に長男が亡くなった後の財産帰属先を予め家族信託契約書の中で定めることもできるので、お世話になった甥を財産帰属先と定めておくことで、長男が亡くなった後の残余財産が国庫に帰属されることを回避することが可能。