【家族信託解決事例】受益者連続で浪費家の弟への財産承継

【家族信託解決事例】受益者連続で浪費家の弟への財産承継

無職で浪費家の弟への財産承継

相談者 55歳男性

父   85歳 老人ホームに入居 物忘れしがち

弟  52歳 無職、浪費家 未婚、子供なし、父名義の家に居住

相談者は、父が亡くなったときの相続については、父名義の自宅は弟が住んでいることもあり、弟が相続することについて、小規模宅地の特例も使えるので納得していました。また、父名義の賃貸アパートも2棟あるので1棟ずつ兄弟で相続すればよいと考えていました。

以上の内容は父の意向でもあり、弟さんにとっても満足いく内容のものでした。

当初は遺言の相談で来られたのですが、弟さんが無職で浪費家であるため、父亡き後、自宅やアパートを弟さんが相続したとたんに現金化することへの不安は悩みの種でした。父は、自宅は先祖から引き継いできたものなので可能な限り身内の者が今後とも承継してほしいし、またアパートは弟が継続的に安定した収入をえるために売却してほしくないと考えていました。

そこで、私は家族信託を活用した財産管理承継のご提案をいたしました。

委託者兼受益者を父・受託者を相談者とし下記内容の信託契約を締結し、信託不動産については、信託を原因として受託者名義に登記手続きを行いました。

契約内容

1.信託財産  不動産: 自宅・弟が承継するアパート1棟

金 銭: 1千万円

2.父が生前中は信託財産であるアパートの収益・金銭をもって生活・療養看護費などに充てる。

3.父死亡後は、受益者を弟に変更する。

4.弟死亡後は、信託は終了し、信託財産は、相談者が取得し、相談者が死亡していれば、相談者の長男が取得する。

このようにしておけば、父死亡後は、受託者である相談者は受益者である弟のために財産を管理し、必要に応じて生活費などを支給することで弟の浪費を防ぐことが可能になり、不動産は受託者である相談者名義ですので弟に売却される心配もなくなりました。

また、受託者である相談者が弟さんより先に亡くなった場合に備えて、第2受託者として相談者の長男(30歳)を指名しておきました。

 

以上は、受益者連続型の家族信託と言われ、遺言では実現ができなかった財産の管理承継が可能になります。

ちなみに、相談者が相続する予定の賃貸アパートについては、相談者がスムーズに相続できるように父名義の預金と共に公正証書遺言を作成しました。

 

家族信託を活用することで、円満で円滑な財産管理・承継を実現できる可能性が広がりました。