家族信託のメリット・デメリットを教えてください。

家族信託のメリット・デメリットを教えてください。

家族信託のメリット・デメリットを教えてください。
4つのメリットとデメリットを解説します。

家族信託のメリット

 

1.認知症のリスクに対応できる財産の管理、運用、処分が可能

 

財産の名義が受託者になるので、委託者本人の確認が不要になり、本人の判断能力が低下・喪失しても財産が凍結されることなく、受託者主導で、スムーズな財産の管理、運用、処分が可能になります。

具体的には、家族信託を事前に組んでおくことで、老親が入院・入所したために空き家となった実家(老親の自宅)を適切な時期に適正な価格で受託者が売却できる等のメリットがあります。

 

 

2.成年後見制度の代用として柔軟な財産管理、運用、処分が可能

 

財産が受託者名義になっていることで、家庭裁判所の管理下の成年後見制度では不可能な不動産の買い替え、高級マンションの購入などによる相続対策(相続税対策)も、本人が判断能力を喪失しても、お亡くなりになる直前まで継続することが可能になります。

 

 

3.遺言の代用として利用できる。

 

家族信託の契約書の中で、本人死亡後の財産の承継者を指定することができるので、遺言の代用としても利用できます。

 

 

4.自分の想いが叶う財産承継が実現できる

遺言の機能に加えて、さらに遺言ではできなかった配偶者や子が亡き後の2次相続以降の財産承継先まで委託者本人が指定することができます。

 

 

 

家族信託のデメリット

 

1.損益通算ができなくなる

 

信託不動産に係る不動産所得について損失が発生した場合、当該損失について、他の固有及び他の信託不動産所得との損益を通算することができません。

 

 

2.税務申告の手間が増える

 

信託財産から年間3万円以上の収入がある場合は、前年分を毎年1月31日までに信託計算書・信託計算書合計表を税務署に提出しなければなりません。

ただし、毎年の確定申告を税理士に依頼されている方は、特に手間が増えることもないと思います。

 

 

3.金融機関の対応が不十分

 

信託口口座の開設、受益者が認知症になった後の受託者借り入れなどに対応してくれる金

融機関が少ない現状があります。

 

 

4.家族信託の限界

 

委託者死亡時の相続財産の全てを信託財産に組み入れておくことは不可能ですので、信託

財産以外の財産については、遺言書を作成しなければ遺産分割協議が必要になります。

また、信託の受託者は、「身上監護権」がないので、受託者が本人の代理人として施設入

所契約などの手続きをするこができないので、この場合、成年後見制度を利用して、後見人

として身上監護権を行使しなければなりません。ただし、実際には、ご本人のご家族が入所

手続きをすることができる場合が多いようです。